【なごちゃんの温故知新?】第1回 CRETAの名越です。

こんにちは。CRETAの名越です。

今月から急遽始まったこのコラム。

いわゆるゲーム業界に身を置き始めてから38年たち、いまだ現役でゲーム開発に関わっていますが、その38年間に見てきた業界の話を中心に、昨今のブロックチェーン界隈で見たこと、感じたことなども書ければと思いつつ、どんなコラムになることやらですが。

まずは自己紹介。

思えば、小学校6年生の時に初めてブロック崩しというテレビゲームを遊び、その後のインベーダーゲームとの出会いで、潜在的にはもうゲーム業界でゲームを作るということが決まってたように思います。

中学2年生の頃に、親に必ず返済するからと言ってコモドール社のVIC-1001という、当時69,800円という最安のパソコンを買った時がプログラマとしてのスタート。ええ、もちろん、借金は踏み倒させていただきました。。。すみません。

VIC-1001

独学でBASIC、そしてアセンブラ言語(いわゆる機械語)を習得し、趣味でゲームを作って当時のゲーム雑誌「I/O」に投稿したけど採用されず、それで少しふてくされたのとw彼女ができたりで高校時代の2年間くらいは青春に時間を費やす比率が多くなるも、また高校3年生にはPCをさわる時間が増え、ゲーム制作のアルバイトを始めました。

そんな流れでゲーム会社にとにかく早く就職してゲーム開発に関わりたいと強く思い、高校卒業して1985年にBPSという会社にプログラマとして入社。

当時のBPSはいわゆる他のゲーム会社同様マンションを二部屋使って社員は10人くらい。社長はヘンク・ロジャースというハワイ出身のオランダ人で、面接してくれた方がコンラッド小澤さんという当時専務取締役。

面接の時になぜか小澤さん、履歴書に書いてあるのに、趣味はなんですか、とか、どこに住んでますかとか、ちょっとなまった日本語で聞いてくるのでなぜだろう、と思ったものですが入社して分かったのは小澤さん、日本語はしゃべれるけど読めないという、日系ハワイ人だったという落ちでした。

ヘンク社長もハワイ大学でコンピュータを学んでいて、日本から留学してきた女性が帰国する時にそのままその子を追っかけて日本に移住して、BPSを起業して知る人ぞ知る「ブラックオニキス」という名作RPGを開発・販売しました。

「ブラックオニキス」プレイ画面

そんなBPS時代の1987年にシアトルにBPS of Americaを設立するタイミングでなぜか僕もヘンクにくっついて北米出張し、しかもLake Tahoeで人生初のスキーをすることになり、またなぜかそこで出会ったのが現CRETA社長の中里です。

そう、中里とは35年前くらいからの付き合いで、今回CRETAにジョインしたのもその縁です。当時中里もボーステックというPCゲームの会社で、革新的なゲーム「レリクス」を開発し、その後単身渡米してブローダーバンドへ入社、その後日本に帰国してからは定期的にご飯食べに行ったり、協業の話をしたりという関係が続き、そして今一緒に仕事をすることに至る、という感じですね。

「レリクス」オープニング画面

さて、少し話を戻して、当時はゲームセンターにいろいろなテレビゲームが登場し、家庭ではまだファミコンが発売されるまでは一部のマニアがPCでゲームを楽しむという感じで、売れたPCゲームで5万本とかの時代。

そんな時代から、ファミコン登場で家庭用ゲーム機の時代が到来、プレイステーションによってカセットからCD-ROMへ、そしてiモードの登場からガラケーでのポチポチゲーでガチャ課金の始まり。そしてスマホでソーシャルゲーム全盛となり、Bitcoinの発明・登場からWeb3.0と呼ばれる時代を迎えています。

いつの時代も新しいプラットフォームやビジネスモデルが変遷をむかえる黎明期は混沌として、そして常にそんなプラットフォームでゲームはやらないよ、そんな詐欺みたいなマネタイズはありえない、などなど、既存マーケットの主流プレイヤー達が批判することから始まってます。

今のWeb3.0、メタバース、NFTも、僕から見ると同じ歴史をたどってるように見えます。

今世にあるブロックチェーンゲームは、ポンジスキームと言われてるようなものが多いし、ねずみ講のように最初に参加してる人が後から参加した人のお金を巻き上げるような仕組みのものが多くあるので、ブロックチェーンゲームは詐欺だ、というのもうなずけます。

そんな状況も、おそらく今後数年でブロックチェーンゲームって面白い、という時代が来ると確信しています。問題はまだ一流のクリエイター達が作ったゲームが世に出てないからだし、仮想通貨でいかにマネタイズするかという切り口の手段にゲームが使われている、という主従が逆なので、今のゲームが面白いはずがありません。

ですが、歴史は繰り返しますよw。僕たちCRETAもそうだし、ゲームが本当に好きな人たちが今まさにこの混沌とした新しいWeb3.0に向けて本気でゲームを作ってますから、面白いブロックチェーンゲームが登場するのも時間の問題です。

これはゲームとして面白いと言われ、気づけば仮想通貨を使った経済圏の中で資産形成も少しはできる、そんな主語をゲームにしたもの、「東京大戦」を鋭意開発中です。

「東京大戦」タイトルロゴ

続報はまたいずれタイミングをみて情報を出していきたいと思いますが、CRETAの前はレッドエンタテインメントという会社にいました。まぁそういうことです、東京大戦。

こんな感じで、このコラムではゲーム産業の変遷をふりかえりつつ、業界の現状と今後について、ときに刺激も交えて書いていきたいと思います!

名越康晃


「なごちゃんの温故知新?」は毎月第3金曜日に投稿を予定していますので、お楽しみに!(編集部)